
車の燃費はいいに越したことはありません。これはお財布の問題であると同時に、環境保護やエネルギー問題でもあります。またこういった問題に配慮するために、ハイブリッド車の普及も進んできました。燃費性能はここ数年でかなり向上しています。ではそもそも燃費とはどのようなものなのでしょうか。また燃費が悪いとされる車の特徴はどのようなものなのでしょうか。
●燃費を表す基準は世界基準に
燃費を表す基準は、これまで国や地域ごとにばらばらでした。これだと試験を何回も行ったりする手間があったことから、2014年に「国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム」で「WLTCモード」と呼ばれる国際的な試験方法が採択され...
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車の燃費はいいに越したことはありません。これはお財布の問題であると同時に、環境保護やエネルギー問題でもあります。またこういった問題に配慮するために、ハイブリッド車の普及も進んできました。燃費性能はここ数年でかなり向上しています。ではそもそも燃費とはどのようなものなのでしょうか。また燃費が悪いとされる車の特徴はどのようなものなのでしょうか。
●燃費を表す基準は世界基準に
燃費を表す基準は、これまで国や地域ごとにばらばらでした。これだと試験を何回も行ったりする手間があったことから、2014年に「国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム」で「WLTCモード」と呼ばれる国際的な試験方法が採択されました。これ以前の日本独自の燃費基準は2006年に制定された「JC08モード燃費(国土交通省審査値)」と呼ばれるものです。
2017年以降はJC08モードが併記されつつも、標準はWLTCモードで算出された燃費基準に切り替わってきています。さらに「市街地モード」「郊外モード」「高速道路モード」の3つの走行モードでの燃費も表示されています。つまり、現在では燃費の表記は5つ。基準移行の過渡期ということもありやや混乱しますが、この先はWLTCモードを基本に、あとは「市街地モード」「郊外モード」「高速道路モード」からどういった場所を走ることが多いかということを考えて確認すると良さそうです。
●国産・普通/小型自動車、燃費性能ワースト5
国土交通省は毎年、自動車の燃費性能を評価して「自動車燃費一覧」を公表しています。この評価は新車として販売されている車について、各メーカー別・車種別・測定モード別でまとめられたものです。以下、この資料に示されているもののうち、国産・普通/小型自動車での燃費の悪い車ワースト5を見てみましょう。なお、車の形式によって若干の違いはあるようですがここでは代表的なものを取り上げます。左から順位、ブランド、通称名、総排気量、燃費値となっています。評価基準はWLTCモード(km/L)です。
1位 レクサス LX570 5.662L 6.6km/L
2位 トヨタ ランドクルーザー 4.608L 6.9km/L
3位 日産 GT-R 3.799L 7.8km/L
4位 日産 NV350キャラバン 2.488L 8.1km/L
5位 トヨタ ランドクルーザー プラド 2.693L 8.3km/L
●レクサスLX570、乗り心地とのトレードオフ
国産・普通/小型自動車の中で最も燃費が悪いのは、レクサスLX570となりました。一般的に燃費は、重い車の方が悪くなります。LX570は、排気量約5.7Lのガソリンエンジン、かつ約2.7トンという大きさなので、燃費が悪いのはしょうがないともいえます。またエンジンの種類としては、気筒(シリンダー)数が多いものの方がより燃料を消費します。一般的な普通車の気筒は直列4気筒が多いですが、LX570はアメリカ車などでよく好まれるV8エンジン。V8とは8つの気筒がV字型に並ぶことを意味します。燃費とはトレードオフになりますが、気筒が多ければ振動は抑えられ、乗り心地は快適になります。また、アイドリングストップ機能もないのでそれなりの燃費になっています。また、2位のトヨタ、ランドクルーザーは1位のレクサスLX570の兄弟車、LXのベースとなったのがランドクルーザーなので、燃費性能としても同様と考えて良さそうです。
●GT-Rは高速巡行では燃費に期待できる
3位の日産GT-Rは、約3.8LのV6エンジンでアイドリングストップ機能はありません。重量は1.8トンとやはり大きな車です。また、GT-RはホンダNSXと並び日本のスポーツカーの代表選手。一般的な速度での燃費は悪いですが、高速度での走行に関してはまた話は別です。空気抵抗を抑えたり、転がり抵抗を低くする技術が導入されていたりすることから、高速巡行ではだいぶ燃費が向上するようです。
●商用バンは一般的に燃費性能が悪い
4位の日産NV350キャラバンは、商用バンとしてトヨタのハイエースと双璧をなす車です。エンジンは2.5L直列4気筒と、一般的な普通車とあまり変わりません。しかし、トヨタのハイエースも8.8km/Lでワースト9位となっており、燃費はいいとはいえません。これらの商用バンの燃費が悪い点については、タフさや積載量、作りのシンプルさが最優先されることから、一般車に搭載されるようないくつかの燃費向上に関連する技術が削がれているといった点が関係ありそうです。
燃費向上は社会的要請として、いま急ピッチで技術開発が進んでいます。ここで上がったような車種も今後モデルチェンジされた際は、燃費に関しても大幅に改善するのではないかといった期待がもたれています。この点は主にハイブリッド化がイメージされるようですが、実際のどういった技術が搭載されてくるのか、今後楽しみな点としておきましょう。
<参考サイト>
自動車燃費一覧(令和3年3月)|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr10_000050.html
ランクル、ハイエース…極悪燃費で存続に暗雲!? 新基準燃費 国産車ワースト10|ベストカーWEB
https://bestcarweb.jp/feature/column/248721
[Q]クルマの燃費表示「WLTCモード」とはなんですか?|JAF
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-construction/subcategory-engine/faq064
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