山道などでよく見かける「動物注意」の標識。一番メジャーなのはシカのマークですが、実は地域によってさまざまな動物が描かれています。
今回は、そんな日本全国にある“激レア”な動物注意の標識マークをご紹介します。
●「動物注意」は警戒標識の一種
「動物注意」と書かれた標識は「警戒標識」にあたり、ドライバーに対して道中起こりうる危険や警戒すべきこと、注意を促すために設置されています。デザインは黄色地にひし形、黒のラインで、視覚的に不安定さを感じられるものとなっています。
警戒標識を設置できるのは、その道路の管理者と定められています。そのため、直轄国道は国土交通省、都道府県道やそのほかの一般道は、その道...
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山道などでよく見かける「動物注意」の標識。一番メジャーなのはシカのマークですが、実は地域によってさまざまな動物が描かれています。
今回は、そんな日本全国にある“激レア”な動物注意の標識マークをご紹介します。
●「動物注意」は警戒標識の一種
「動物注意」と書かれた標識は「警戒標識」にあたり、ドライバーに対して道中起こりうる危険や警戒すべきこと、注意を促すために設置されています。デザインは黄色地にひし形、黒のラインで、視覚的に不安定さを感じられるものとなっています。
警戒標識を設置できるのは、その道路の管理者と定められています。そのため、直轄国道は国土交通省、都道府県道やそのほかの一般道は、その道路がある都道府県または政令指定都市が設置しています。
その道路にはどんな危険がひそんでいるのか、実情を把握している地域であれば効果的な警戒標識が設置できるというわけですね。
●標準指定されている動物マークは4種類
動物注意の標識の中でポピュラーなのが「シカ」「サル」「タヌキ」「ウサギ」の4種です。実はこれらは国土交通省が“標準”としている動物たち。いずれも全国的に広く棲息している動物で、事故件数も多いことからでしょう。中でも教本で取り上げられているシカの図柄は、国際標準のデザインが使われています。
標識のデザインは「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」、通称「標識令」で、ある程度のルールが定められています。とはいえそのルールに則ってさえいれば、何の動物を描くかは自由。各々の道路管理者が適宜デザインを変更してOKということになっています。
先の4種類の動物については国土交通省が例として示している図柄が採用されていることが多いですが、その図柄でなければダメというわけではありません。一見同じようなシカのシルエットでも体の向きや角の向きに違いがあったり、イラスト調のものがあったりと、実は地域によって図柄はさまざま。どこか「ご当地感」も感じられます。
標準4種の動物以外では、昨今被害が拡大している「クマ」や「イノシシ」の標識もおなじみのものになってきていますが、やはり図柄にバリエーションがあり、種類が豊富です。標準でない動物のほうが例示がないぶん、自由度が高いのかもしれません。
ほかにも、ご当地ならではの珍しい動物が描かれている場所があります。それでは、全国の激レア「動物注意」警戒標識を見ていきましょう。
●ウシ(北海道、九州など)
ウシは家畜のため一般道で標識はほとんど見られないですが、放牧の盛んな地域や牧場の近くでは見かけることがあります。さまざまな標識を紹介しているブログ「道路標識マニア」によると、実はウシの図柄が動物の中で最もバリエーション豊富だそう。
酪農王国・北海道で見られるウシは白黒で塗り分けられたホルスタインの絵、畜産が盛んな九州地方では黒一色のウシの絵がよく見られます。
●ウマ(北海道など)
ウシと同様、北海道でよく見られるのがウマの警戒標識です。ウシと違い、こちらは人が乗った「乗馬」バージョンが存在しているのが印象的です。
●カルガモの親子(神奈川県川崎市など)
春になると、母カルガモがヒナを連れて川を目指す「カルガモのお引っ越し」がしばしば話題になりますね。その姿はとても愛らしいものですが、不幸にも交通事故に巻きこまれ、命を落とすケースが少なからずあります。
2021年5月、神奈川県川崎市の「江川せせらぎ遊歩道」でカルガモが交通事故に遭ってしまったことから、カルガモたちを守りたいと地元住民が行政に相談。これを受け、中原区道路公園センターが2022年の春にカルガモとヒナ3匹を描いた「飛び出し注意」の警戒標識を設置しました。
このニュースが話題となったことで、カルガモの標識は一躍有名になりました。
●イタチ(広島県安佐北区)
広島県の安佐北区安佐町付近、太田川沿いのみでしか見られない、非常に珍しいイタチの警戒標識です。設置されたのは1998年(平成10年)。この地域でイタチとの接触事故が頻繁に起こったことから設置されたそうです。
ちなみにシルエットから「カワウソ」と思う人も多いですが、正しくはイタチです。
●ヤンバルクイナ(沖縄県)
沖縄県の山原(やんばる)地域にのみ棲息する固有種で天然記念物・ヤンバルクイナを図柄にした警戒標識です。ずんぐりした体型、お腹のしま模様が、シルエットでうまく表現されています。
野生動物や天然記念物が多い沖縄では、ほかにも「イリオモテヤマネコ」の警戒標識や、道路から川へと渡るオオガニへの注意喚起となる「カニ注意」など、本土では見られないような動物の警戒標識がたくさんあります。
●ヤドカリ(沖縄県宮古島、東京都小笠原)
こちらもレアな、ヤドカリ(オカヤドカリ)の標識です。可愛らしいイラストタッチの図柄が目を引きますね。オカヤドカリは産卵のため陸から海へと移動する習性があり、その道中で道路を横断することがあるため、標識が立てられたそうです。
沖縄と同じく小笠原諸島も固有種の宝庫。絶滅危惧種のアカガシラカラスバトや、ハハジマメグロといった標識もあります。
激レアな動物注意の標識、いかがでしたか。絶滅危惧種であったり、天然記念物であったりと、保護する理由があるからこそ標識が立てられているんですね。変わった標識を見るとつい「珍しい!」と二度見してしまいそうですが、前方不注意で事故を起こさないようくれぐれもご注意を。
<参考サイト>
・道路標識「動物注意」、そんなものまで飛び出すの? 地域の特色反映、希少種も図柄に(乗りものニュース)
https://trafficnews.jp/post/75949
・160種類以上もある!? 地方色豊かな "動物注意" 標識(noteブログ 道路標識マニア)
https://note.com/roadsign/n/nb9a5c6a85b6c
・シラベルケーネ!標識に描かれた“謎の動物”(NHK広島放送局)
https://www.nhk.or.jp/hiroshima/lreport/article/004/88/
・カルガモ飛び出し注意!中原街道に案内標識 横断中の事故死「どうにかしたい」地元住民らが働き掛け(東京新聞web)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/171681
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