国民の生活習慣と所得の関係について、2015年12月に厚生労働省が「国民健康・栄養調査」の調査結果を発表した。
結果は、所得が低いほど「肥満ぎみ」で「肉や野菜より穀類を多く食べ」ており、「喫煙率が高く」「歯も少ない」という衝撃的なもの。
この調査では回答のあった全国3,648世帯を以下3つに分類している。
低所得層(世帯所得200万円未満)
中所得層(同200~600万円)
高所得層(同600万円以上)
割合は低24%、中54%、高22%となっている。
●所得の違いで栄養バランスが異なっている
最も目立つのは...
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お金
国民の生活習慣と所得の関係について、2015年12月に厚生労働省が「国民健康・栄養調査」の調査結果を発表した。
結果は、所得が低いほど「肥満ぎみ」で「肉や野菜より穀類を多く食べ」ており、「喫煙率が高く」「歯も少ない」という衝撃的なもの。
この調査では回答のあった全国3,648世帯を以下3つに分類している。
低所得層(世帯所得200万円未満)
中所得層(同200~600万円)
高所得層(同600万円以上)
割合は低24%、中54%、高22%となっている。
●所得の違いで栄養バランスが異なっている
最も目立つのは穀類(米やパン、麺類)の平均摂取量の差異。
高所得層:男性494g/女性352g
中所得層:男性520g/女性359g
低所得層:男性535g/女性392g
重量だけでは実感が湧かないので、身近な食物に換算してみよう。低所得男性はコンビニおにぎり5個+6枚切り食パン1枚、高所得男性は同じおにぎり5個+同じ食パン3分の1枚の差が日々ついていく。
次に野菜の摂取量は、以下の通り。
高所得層:男性322g/女性314g
中所得層:男性289g/女性285g
低所得層:男性254g/女性272g
キャベツの葉でいうと、男性1枚、女性半分ぐらいの差である。
最期に肉類。
高所得層:男性122g/女性84g
中所得層:男性111g/女性78g
低所得層:男性102g/女性74g
吉野家の牛丼(並盛85g、大盛110g)に換算すると、並盛の量を食べているのが高所得女性と低所得男性、大盛量を確保しているのが中~高所得男性ということだ。
また、健康診断を受けていない人の割合も低所得層であるほど高く、男性では200万円未満の層で42.9%に上った。喫煙者の割合も同様で、特に女性では、600万円以上の層に対して、200万円未満は3倍近い15.3%だった。歯の本数が20本未満の人の割合も、男性は約13%、女性は約5%の差があった。
●厚労省のコメントが投げた波紋
NHKによると、厚労省はこの調査発表に際し、「所得が低い人は栄養バランスのよい食事をとる余裕がなくなっているのではないか。食事の内容を見直すなど健康への関心を高めてほしい」とコメントした。
コメントを受けてネット上では、「持たざる者を煽る文章」等、反感をあらわにする発言が相次いだ。所得が低いから食事内容に注意を払う余裕がないのは当然のことだ、というのだ。
●低カロリーなのに太る理由
しかし、エネルギー摂取と肥満者(BMI125以上)の割合を並べてみると、厚労省に文句を言ってもいられない。
低所得男性:2,053kcal摂取/肥満率38.8%
高所得男性:2,180kcal摂取/肥満率25.6%
30歳から49歳の男性であれば、事務等の軽作業でも、エネルギー必要量は2,300kcalとされている。本来太れるはずのない摂取カロリーで肥満してしまうのは、代謝量が落ちているか、活動量が少ないかということだ。
やはり考えられるのは、タンパク質不足だ。タンパク質の摂取が減ると、筋肉量は減り、代謝も低下して、脂肪が燃焼しにくくなる。さらに免疫力も低下し、思考力も衰えてくる。所得と生活習慣病という負のスパイラルに陥らないうちに食生活の見直しはやはり必要だろう。
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