
寒い季節が近づくと雪山が恋しくてソワソワしてしまうウィンタースポーツ愛好家たちから「いつかニセコで滑るのが憧れ」「ニセコの雪質は桁違い」など、「ニセコ」の地名を聞くようになったのは20年ほど前から。日本のスキーヤー、スノーボーダーも憧れる北海道のニセコは、その後多くの外国人観光客で賑わい「日本にある海外」と呼ばれる人気リゾートとなっています。ニセコを訪れ滞在する客層はシーズンによっては9割近くが外国人。中でも海外富裕層に好まれる観光地となったのには、どんな理由があるのでしょうか。
●ニセコが世界から愛される理由とは
・世界一と言われるパウダリーな雪質
ニセコの雪質は「シルキーパウダー」と称され、...
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寒い季節が近づくと雪山が恋しくてソワソワしてしまうウィンタースポーツ愛好家たちから「いつかニセコで滑るのが憧れ」「ニセコの雪質は桁違い」など、「ニセコ」の地名を聞くようになったのは20年ほど前から。日本のスキーヤー、スノーボーダーも憧れる北海道のニセコは、その後多くの外国人観光客で賑わい「日本にある海外」と呼ばれる人気リゾートとなっています。ニセコを訪れ滞在する客層はシーズンによっては9割近くが外国人。中でも海外富裕層に好まれる観光地となったのには、どんな理由があるのでしょうか。
●ニセコが世界から愛される理由とは
・世界一と言われるパウダリーな雪質
ニセコの雪質は「シルキーパウダー」と称され、絶妙に湿度を含んだ雪は固過ぎずサラサラとした軽やかさ。シーズン中は毎日のように雪が降り降雪量も多いため、雪不足の海外のスキーリゾートのように人工雪を使わずとも、毎日その新鮮な「新雪感」を堪能できると評判です。
・変化に富んだ多様なコース
ニセコエリアには4つのスキー場があり、それぞれに個性があり飽きないといいます。子供や初心者向け、上級プレーヤーに対応するコースや、ハーフパイプや急斜面、林間、ナイターなど変化に富んだコース施設も豊富に用意されています。
・多言語対応の環境が整っている
公用語が英語、と言っても過言ではないほど、どこでも言葉が通じることも人気の理由です。また英語だけでなく多言語対応している施設や店舗も多く、長期滞在やトラブルの際にも外国人が困らない環境が整っています。
・海外有名スキーリゾートより安い
国内の他のスキーリゾートと比較すると物価も宿泊費用も高いのですが、それでもヨーロッパの名だたるスキーリゾートと比べるとコストを抑えられると話す外国人も。
・SNSやブランディングを意識したインバウンド対策
外国人に向けた情報を発信するニセコ町のHPは多言語で準備され、コンテンツも充実。また「Japan」と「Powder Snow」を組み合わせた「Japow」という造語でブランドを構築し、SNSのハッシュタグ等を駆使して世界にその名を広めています。オリンピックの選手村として海外スキーヤーを招いたことも大きく、有名プレーヤーによるニセコを称賛する発信も海外へと影響を与えています。
・夏もアウトドア、温泉や美食が楽しめる
オフシーズンも、北海道ならではの立地を生かしたリゾートとして楽しめます。大自然や豊富な食材を味方に、夏はラフティングやトレッキング、食事、温泉を楽しめるリゾートとしてのニセコの魅力があります。
●ニセコがターゲットにしている層とは
ニセコは上記のような様々な要素で外国人に人気が出たのですが、世界から注目されるリゾートとなったのにはもうひとつ「海外富裕層のターゲッティング」という大きな起因があります。
そもそも欧米では冬季のバカンスをスキーリゾートで過ごすのはセレブ層の定番であり、2週間、中には1ヶ月近くの長期滞在でバカンスを楽しむ人も珍しくありません。ただウィンタースポーツだけが目的なのではなく、充実した休暇を過ごしに日本へ来る富裕層にターゲットを絞り、コンドミニアム型で暮らすように宿泊できるホテル、快適で洗練されたリゾート環境、設備や食事やサービスの充実など、ターゲットの求めるレベルを意識した開発や運営がなされているのです。
日本はバブル期前後のスキーブームが下火になると価格を下げることにより集客を狙った観光策が主流でした。しかしニセコは、価格を抑えてスキーをしたい日本人ではなく、上質なスキーリゾートを求めている海外の富裕層をターゲットに舵を切ったのが成功の秘訣だと言われています。
●コロナ禍による影響と、今後の変化は
そんなニセコもコロナ禍においては観光客が激減し、開発やオープンが頓挫した施設やお店も多く、人員削減をしたところがほとんどだといいます。そのため水際対策緩和後は客足が戻ってきたのにも関わらず、人手不足に悩んでいるという現状も。また滞在者数に対して営業している飲食店数が圧倒的に少ないこともあり、ホテル外での食事が気軽にできないという声も聞かれています。しかし日本に居ながら海外体験もできる、そんな発想で「ニセコ留学」という言葉まで生まれ、アルバイトをしながらニセコで英語の勉強をしたいと考える若者も増えているのだとか。
現在もニセコエリアでは海外資本の高級ホテルブランドを中心に数十件の建設が進み、また老朽化したリフトや設備の修理や立て直しも検討されているそうです。それに伴い、エリアの物価や利用料金もさらなる値上げは必須、ニセコはより一層高級リゾートとしての貌を確立されていくのではないでしょうか。
2030年には北海道新幹線が札幌まで開通する予定です。札幌からは車で2時間程の遠くない距離ですが、日本人がなかなか行けない観光地となってしまうのは少し残念。しかしこれからのインバウンド対策において、ニセコの徹底したターゲッティングや、「ジャパンブランド」としての付加価値に学ぶことは多そうですね。
<参考サイト>
なぜ「北海道・ニセコ」は外国人富裕層から愛されるのか?│幻冬舎
https://gentosha-go.com/articles/-/34932
北海道ニセコが外国人に選ばれるその理由:インバウンド誘致の正攻法とは│訪日ラボ
https://honichi.com/news/2019/07/05/nisekoxinboundnaze/
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