運転免許証には、運転可能な車の種類が記載された部分があります。このすべての種類の免許の欄に記載がある免許証のことを、俗に「フルビット免許証」と呼びます。かなりレアかつ最強の免許証といっていいでしょう。ただし「フルビット免許証」を達成するには、なかなか細かい条件があります。ここでは「フルビット免許証」とはどのようなもので、どのようにすれば取得できるのか見てみましょう。
●免許は全15種類(14マス表示)
1994年までの運転免許証は、所有している免許の欄に「1」、所有していない免許の欄には「0」が表記されるものでした。これは2進数での表記(ビット表記)と呼ばれるものです。つまり免許証で運転できる...
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運転免許証には、運転可能な車の種類が記載された部分があります。このすべての種類の免許の欄に記載がある免許証のことを、俗に「フルビット免許証」と呼びます。かなりレアかつ最強の免許証といっていいでしょう。ただし「フルビット免許証」を達成するには、なかなか細かい条件があります。ここでは「フルビット免許証」とはどのようなもので、どのようにすれば取得できるのか見てみましょう。
●免許は全15種類(14マス表示)
1994年までの運転免許証は、所有している免許の欄に「1」、所有していない免許の欄には「0」が表記されるものでした。これは2進数での表記(ビット表記)と呼ばれるものです。つまり免許証で運転できる区分には「1」と入力され、このすべてのボックスに「1」が入っている状態を「フルビット」と呼んでいたわけです。
現在ではビット表記ではありませんが、この時の名残でいまでも免許のすべての欄に記載があるものを「フルビット免許」と呼んでいるようです。ということで実際にどのような表記がされるのか見てみましょう。以下は日本の運転免許の区分15種類です。カッコの中の表記が実際に免許証に記載される略称です。
【上段左から】
大型自動車免許(大型)
中型自動車免許(中型)
準中型自動車免許(準中型)
普通自動車免許(普通)
大型特殊自動車免許(大特)
大型自動二輪車免許(大自二)
普通自動二輪車免許(普自二)
【下段左から】
小型特殊自動車免許(小特)
原動機付自転車免許(原付)
大型自動車第二種免許(大二)
中型自動車第二種免許(中二)
普通自動車第二種免許(普二)
大型特殊自動車第二種免許(大特二)
「けん引免許(け引)」もしくは「けん引第二種免許(引二)」、両方所持の表記は(引・引二)
「準中型自動車免許(準中型)」は2017年に細分化された免許です。「けん引免許」と「けん引二種免許」については、以前はそれぞれ別の欄に記載されていました。しかし「準中型自動車免許(準中型)」の項目が増えたことで、1マスにまとめられたという経緯があります。こうして免許自体は15種類なのですが、記載されるマスは14マスとなっています。
●フルビット達成の条件
現在、日本の免許制度では上位免許を取得すると下位免許が自動的に取得できるものが多数あります。たとえば「普通自動車免許」を取得すると、自動的に原付も運転できるようになります。しかしこの場合、免許証の原付の欄に記載は入りません。つまり「フルビット」とはなりません。このことから、フルビット免許をめざすには、免許を取る順番から意識する必要が生まれることになります。
上位免許を取った後でも免許を一度返納したり「一部取消し」をしたりすることで、フルビットを目指すことはできます。ただし、すべての免許取得には教習代や手数料などをあわせると、総額200万円以上かかることもあるようです。また二種免許は営業運転ができる免許ですが、これを取得するには、一種免許を取得後3年以上経過している必要があります。
フルビットへの道のりはかなり険しいことが分かります。免許をはじめから取り直すのはかなりの決意が必要です。普通一種から取得してきたけれどフルビットのために取り直したいという人、もしくはまだ免許をもっておらずこれから「フルビッター」を目指したいという人は、順番をしっかり頭にたたき込んでおきましょう。達成できる順番はいくつかありますが、以下、順番の一例を示しておきます。ポイントは下位免許から一つ一つ埋めていくことです。
1.原付
2.小型特殊(フォーク・リフト、トラクターなどで公道を走る免許)
3.普通自動二輪(排気量400CCまでのバイク)
4.大型自動二輪(排気量400CCを超えるバイク)
5.普通一種
6.準中型(車両総重量3.5トン以上7.5トン未満等の自動車)
7.中型一種
8.大型一種
9.大型特殊一種(クレーン車、ブルドーザー、油圧ショベルなどで公道を走る免許)
10.けん引一種(トレーラーなど750kg以上の車を連結し、それを牽引して運転する免許)
11.普通二種
12.中型二種
13.大型二種
14.大型特殊二種
15.けん引二種
1番と2番の順番はどちらが先でも可能です。ただし、この2つの免許は他の免許に付随している場合が多い免許です。この2つを先に取って埋めておくことが、フルビット達成に向けての最初の鍵です。また、11番以降の二種免許は、「人を乗せて運賃をもらう」営業運転を行うために必要となる免許ですが、先に示したとおり一種免許を取得してから3年以上経過している必要があります。
●「大型特殊二種」「けん引二種」は現状で使う場面はない
また、14番目の「大型特殊二種」免許を使うような状況は、現在の日本にはないようです。大型特殊免許で運転するのは、フォーク・リフトやキャタピラー車などなので、これらで公道を使って旅客輸送する状況は考えにくいでしょう。また最後の15番目「けん引二種」についてはこれまで日本で唯一、東京都の武蔵五日市駅とつるつる温泉(奥多摩エリア)間を運行する「青春号」が該当していました。しかしこれも2023年3月に営業を終了しています。つまり最後の2種類は現在、用途がありません。
さらに「大型特殊二種」「けん引二種」は教習できるところもなく、試験をその場で受けてクリアする必要があります。ちなみに、フルビットとはならなくとも、「大型自動二輪」「大型二種」「大型特殊二種」「けん引二種」の免許を持っていれば、事実上すべての車で公道を走ることが可能となります。こちらは「フル免許」と呼ばれます。こう考えると、「フルビット免許」はなかなか不合理な免許の取り方です。それでも目指す人は一定数います。もしかしたら、あえて多大なお金と時間や労力をかける行為自体に、なにか計り知れない魅力があるのかもしれません。
<参考>
[Q] 運転免許にはどんな区分と種類があるのですか?|JAF
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-procedure/subcategory-license/faq309
3月に営業終了した日本唯一のトレーラーバス東京都・日の出町が活用できる方に譲渡へ|JAFMate
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