
もはや年末の恒例行事として定着した感のある「ふるさと納税」。過熱する返礼品競争を抑えるため、2019年には地方税法が改正され「寄付額の3割以下の地場産品」との返礼品基準が新設されました。今後、利用者はどこに注目するのがいいのか、どんなものが返礼品なのかなど、最新動向を調べてみました。
●ふるさと納税のしくみとやり方を振り返る
ふるさと納税制度は、任意の自治体に寄附を行った場合に、寄附金額の一部が居住する自治体の住民税等から控除されるしくみ。納税者が応援したい自治体に対して寄附をするため、その地域の特産品などを選びます。控除上限額内であれば実質自己負担額は2,000円というおいしさ。応援される側...
ジャンル
お金

もはや年末の恒例行事として定着した感のある「ふるさと納税」。過熱する返礼品競争を抑えるため、2019年には地方税法が改正され「寄付額の3割以下の地場産品」との返礼品基準が新設されました。今後、利用者はどこに注目するのがいいのか、どんなものが返礼品なのかなど、最新動向を調べてみました。
●ふるさと納税のしくみとやり方を振り返る
ふるさと納税制度は、任意の自治体に寄附を行った場合に、寄附金額の一部が居住する自治体の住民税等から控除されるしくみ。納税者が応援したい自治体に対して寄附をするため、その地域の特産品などを選びます。控除上限額内であれば実質自己負担額は2,000円というおいしさ。応援される側もする側もハッピーになるしくみなのです。
一年中いつでも、思い立ったときに利用できます。ただし、1月1日から12月31日の1年間に寄付した分がその年度の所得税の還付、翌年度の住民税の控除対象になるため、年末は駆け込み需要ならぬ駆け込み寄附が急増。人気の返礼品が終了になってしまうこともあるため注意が必要です。
平成27年に「ワンストップ特例制度」が認められてからは、よりハードルが低くなり、年末調整の一環のように利用する人が増えました。サラリーマンなど、確定申告の不要な給与所得者の場合、面倒な申告をしなくても寄附金控除ができる制度です。必要なのは「ワンストップ特例申請書」とマイナンバー提供に必要な「本人確認書類」のみ。「さとふる」などの納税サイトに会員登録をすれば、記入済みの申請書がダウンロードできるという至れり尽くせりです。
聞こえは悪いものの、要は「実質2,000円の負担で納税額に応じて返礼品がもらえる」お得な制度。やらないよりはやったほうがいいよね、と思えるシステムなので、未体験の方は今年こそチェックを。
●ショッピング感覚で、節税と寄附を実現
納税の手順は、楽天やアマゾンで買い物をするのとほとんど変わりません。まず自分が利用したい「ふるさと納税サイト」を選び、会員登録するところから始めましょう。
納税サイトを用いるメリットは、多くの自治体の返礼品を、控除額シミュレーションを用いて選べる点。利用者のレビューを参考にできたり、Amazonや楽天のポイントが貯まるサイトもあります。
ふるさと納税で受けられる控除額は、「所得税分の控除額(A)」+「住民税基本分の控除額(B)」+「住民税特例分の控除額(C)」となります。
所得税分の控除額(A)=(ふるさと納税額ー2,000)×所得税の税率
住民税基本分の控除額(B)=(ふるさと納税額ー2,000)×10%
住民税特例分の控除額(C)=(寄附金額ー2,000)×(100%ー10%(基本分)ー所得税の税率)
基本となる計算式はA+B+Cですが、医療費控除などがある場合は数字が変わってきます。また、住宅ローン控除を受けている人の場合、所得税がゼロとなり、ふるさと納税による控除は受けられない人も多いようです。いずれにせよ結構複雑な計算になるので、控除上限額シミュレータの利用がオススメです。
ちなみにソフトバンクグループが運営する「さとふる」、東証一部上場VOYAGE GROUPが運営する「ふるさと本舗」、トラストバンクが運営する「ふるさとチョイス」、アイモバイルが運営する「ふるなび」の4社が大手、利用者の評価も高いサイトです。
●クラウドファンディング型も登場、お礼はやっぱりお得
ふるさと納税の最近のトレンドは「クラウドファンディング型」。たとえば「子どもたちの図書館を作る」など、応援したいプロジェクトを選んで寄附することができるようになっています。
返礼品としては「お米・牛肉・海産物」がふるさと納税の「三種の神器」と言われます。食品だけでも「ないものはない」賑わいですが、季節のフルーツなどは想定外のボリューム。おすそ分け先なども考えておいたほうがよさそう。
一方、特産の工芸品、メーカー工場のある自治体からの「家電品」や「化粧品」など、モノづくりの国ニッポンの誇りを感じる商品には、高価でも人気が集まります。たとえば愛知県津島市が返礼品にしている「持ち運べるガス発電機」は30万円という高額の寄附を要するにもかかわらず、ヒット商品となっています。
温泉やリゾート、遊園施設の「感謝券(利用券)」なども人気の的。体験型のお礼品(陶芸体験、バードウォッチング、パラグライダーなど)なども用意され、ご当地の魅力を発信しています。
地方税法の改正で「寄附額の3割以下」のルールが定まりましたが、業者努力をタテにした還付率競争は止まらず、市販品よりかなりお得な「返礼品」も多いので、目を利かせてみてください。最近では、総務省から対象除外された泉佐野市が最高裁まで争い、国に勝訴しています。
ジャンル
お金