アメリカの軍事評価機関「Global Firepower(グローバル・ファイヤーパワー)」が、「Military Aircraft Strength (2022)(世界の空軍力ランキング・2022年)」を発表しました。
ランキングは、各国の空軍の航空機総数や戦闘機等を集計して算出されています(ただし、公式データが入手できない場合に見積もりが行われます)。なお、【評価軸となる8種類の航空機】は以下となります。
【評価軸となる8種類の航空機】
1.戦闘機:ミサイルや火砲などを備えた比較的小型で高速の航空機。敵機への攻撃、味方の大型機の護衛、空中哨戒、地上戦闘支援などの任務を担当する。
2.攻撃機:敵の地上目標...
ジャンル
くらし
アメリカの軍事評価機関「Global Firepower(グローバル・ファイヤーパワー)」が、「Military Aircraft Strength (2022)(世界の空軍力ランキング・2022年)」を発表しました。
ランキングは、各国の空軍の航空機総数や戦闘機等を集計して算出されています(ただし、公式データが入手できない場合に見積もりが行われます)。なお、【評価軸となる8種類の航空機】は以下となります。
【評価軸となる8種類の航空機】
1.戦闘機:ミサイルや火砲などを備えた比較的小型で高速の航空機。敵機への攻撃、味方の大型機の護衛、空中哨戒、地上戦闘支援などの任務を担当する。
2.攻撃機:敵の地上目標や艦船の攻撃を主任務とする航空機。爆撃機や雷撃機なども含まれる。航空母艦から発着する艦上攻撃機、陸上基地から発着する陸上攻撃機がある。
3.輸送機:物資の輸送や隊員を輸送する航空機。戦略輸送機と戦術輸送機に大別される。内閣総理大臣など要人輸送の際にも使用される。
4.練習機:操縦や爆撃の練習など、パイロット候補生育成のために使われる航空機。
5.高性能特別機:高性能レーダー、空対空ミサイル、高いステルス性能など、特に高性能な機能を搭載した航空機。
6.タンカー艦隊:飛行中の戦闘機などに上空で燃料を補給するための航空機。
7.ヘリコプター:機体の上に取りつけた大型の回転翼をエンジンで駆動して揚力と推進力を得る航空機。輸送、対潜、偵察、索敵、電子戦など、各種の専用ヘリコプターが使用されている。
8.攻撃ヘリコプター:対戦車ミサイルと機関銃を装備した重武装のヘリコプター。
では早速、グローバル・ファイヤーパワー版「世界の空軍力ランキング・2022年」トップ10をみていきましょう。なお、2022年は142カ国でのランキングとなっています。
●「世界の空軍力ランキング・2022年」1位~5位
【1位:アメリカ】
《空軍力》航空機総数:13,247(1/142)、戦闘機:1,957(1/142)、攻撃機:783(1/142)、輸送機:982(1/142)、練習機:2,661(1/142)、高性能特別機:774(1/142)、タンカー艦隊:627(1/142)、ヘリコプター:5,463(1/142)、攻撃ヘリコプター:910(1/142)
※参考:人口:3億3,499万人(3/142)、国防予算:7,700億ドル(1/142)、総兵力:183万人
【2位:ロシア】
《空軍力》航空機総数:4,173(2/142)、戦闘機772:(3/142)、攻撃機:739(2/142)、輸送機:445(2/142)、練習機:522(3/142)、高性能特別機:132(3/142)、タンカー艦隊:20(3/142)、ヘリコプター:1,543(2/142)、攻撃ヘリコプター:544(2/142)
※参考:人口:1億4,232万人(9/142)、国防予算:1,540億ドル(3/142)、総兵力:135万人
【3位:中国】
《空軍力》航空機総数:3,285(3/142)、戦闘機:1,200(2/142)、攻撃機:371(3/142)、輸送機:286(3/142)、練習機:399(5/142)、高性能特別機:114(4/142)、タンカー艦隊:3(12/142)、ヘリコプター:912(3/142)、攻撃ヘリコプター:281(3/142)
※参考:人口:13億9,789万人(1/142)、国防予算:2,300億ドル(2/142)、総兵力:313万人
【4位:インド】
《空軍力》航空機総数:2,182(4/142)、戦闘機:564(4/142)、攻撃機:130(4/142)、輸送機:253(4/142)、練習機:353(6/142)、高性能特別機:71(5/142)、タンカー艦隊:6(9/142)、ヘリコプター:805(4/142)、攻撃ヘリコプター:37(17/142)
※参考:人口:13億3,933万人(2/142)、国防予算:496億ドル(6/142)、総兵力:513万人
【5位:韓国】
《空軍力》航空機総数:1,595(5/142)、戦闘機:402(6/142)、攻撃機:90(8/142)、輸送機:41(17/142)、練習機:289(8/142)、高性能特別機:30(9/142)、タンカー艦隊:4(11/142)、ヘリコプター:739(5/142)、攻撃ヘリコプター:112(5/142)
※参考:人口:5,171万人(28/142)、国防予算:463億ドル(8/142)、総兵力:113万人
●「世界の空軍力ランキング・2022年」6位~10位
【6位:日本】
《空軍力》航空機総数:1,449(6/142)、戦闘機:217(13/142)、攻撃機:23(20/142)、輸送機:59(10/142)、練習機:425(4/142)、高性能特別機:164(2/142)、タンカー艦隊:7(8/142)、ヘリコプター:554(6/142)、攻撃ヘリコプター:119(4/142)
※参考:人口:1億2,468万人(11/142)、国防予算:474億ドル(7/142)、総兵力:30万人
【7位:パキスタン】
《空軍力》航空機総数:1,387(7/142)、戦闘機:357(7/142)、攻撃機:90(8/142)、輸送機:54(12/142)、練習機:551(2/142)、高性能特別機:24(13/142)、タンカー艦隊:4(11/142)、ヘリコプター:307(11/142)、攻撃ヘリコプター:57(10/142)
※参考:人口:2億3,818万人(5/142)、国防予算:76億ドル(31/142)、総兵力:164万人
【8位:エジプト】
《空軍力》航空機総数:1,062(8/142)、戦闘機:250(11/142)、攻撃機:93(7/142)、輸送機:59(10/142)、練習機:341(7/142)、高性能特別機:11(21/142)、タンカー艦隊:0(140/142)、ヘリコプター:313(10/142)、攻撃ヘリコプター:91(7/142)
※参考:人口:1億643万人(14/142)、国防予算:43億ドル(47/142)、総兵力:123万人
【9位:トルコ】
《空軍力》航空機総数:1,057(9/142)、戦闘機:205(15/142)、攻撃機:0(140/142)、輸送機:81(7/142)、練習機:270(9/142)、高性能特別機:20(16/142)、タンカー艦隊:7(8/142)、ヘリコプター:474(7/142)、攻撃ヘリコプター:107(6/142)
※参考:人口:8,248万人(18/142)、国防予算:96億ドル(24/142)、総兵力:77万人
【10位:フランス】
《空軍力》航空機総数:1,055(10/142)、戦闘機:266(10/142)、攻撃機:0(140/142)、輸送機:125(5/142)、練習機:165(18/142)、高性能特別機:46(6/142)、タンカー艦隊:18(4/142)、ヘリコプター:435(8/142)、攻撃ヘリコプター:69(8/142)
※参考:人口:6,808万人(21/142)、国防予算:409億ドル(11/142)、総兵力:41万人
●世界をつなぐ空でひしめき合う制空権
以上のように見ていくと、軍備という国家にとって根幹ともいえる重要情報であったとしても、例えばすべてにおいて1位のアメリカはシェアでも圧倒的であるなど、公開されている情報からでもわかる知識が多々あることがわかります。
また、6位にランクインした日本の「空軍力」のうち、特に目を引く結果「高性能特別機:164(2/142)」について見てみると、事実上の日本の「海軍力」ともいえる航空自衛隊のHPに「高性能特別機」という項目はありませんが、例えば「警戒機」(全方向を監視できるレーダーを装備し常に日本の上空を監視している航空機)として紹介されている「E-767」「E-2C」が該当することがわかります。
ちなみに、「E-767」は、旅客機をベースに警戒管制システムを搭載した、新型の早期警戒管制機です。主な装備は、3次元方式の捜索用レーダー、味方識別装置、通信装置、航法装置、コンピュータ、状況表示装置など。優れた飛行性能と高高度で長時間の警戒監視能力を有しています。
一方「E-2C」は、航空作戦を効果的に遂行する使命を担った、早期警戒機です。低空侵入機の早期発見と対処、陸・海部隊との作戦連携、捜索・救難・指揮の円滑化、陸上レーダーサイト機能の代替、通信の中継など、役割は多岐にわたります。
なお、『防衛白書(令和3年版)』によると、2021年3月31日付けの国有財産として、「E-767」は4機、「E-2C」は10機の保有となっています。
宇宙から見れば国境線はないように、空には境界などなく世界中とつながっています。しかし、社会的な事実として、世界には国境があり、空中では各国の制空権がひしめき合っています。
情報は有事においても重要となりますが、やはり情報を知識とし多数の叡智をもって最大公約数の幸福のために最大限に有効活用できるのは、当然ながら平時です。もちろん、高度な国際化となった現代において、たとえ自国や生活拠点の国が戦時下などの非常事態でなかったとしても対岸の火事などなく、毎日が単なる平時とはいえない状況ともいえます。
しかし、より大きな有事に巻き込まれないことやさらなる非常事態を引き起こさないためにも、有事を想定しながらも平時といえる日々において正しい情報を適切にアップデートしながら理性的に十分に思考し備えることが、国際人として生きる私たち一人ひとりに求められているのではないでしょうか。
<参考文献・参考サイト>
・『デジタル大辞泉』(小学館)
・『日本国語大辞典』(小学館)
・『世界大百科事典』(平凡社)
・「情報化時代の兵器技術」『情報・知識 imidas』(中村好寿著、集英社)
・Military Aircraft Strength (2022) - Global Firepower
https://www.globalfirepower.com/aircraft-total.php
・防衛省 [JASDF] 航空自衛隊
https://www.mod.go.jp/asdf/index.html
・令和3年版防衛白書 防衛省・自衛隊
https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2021/w2021_00.html
ジャンル
くらし