今すぐ、驚くほど簡単にクリエイティブになれる方法がある。そのメカニズムが分かったのは、実は50年ほど前、1960年代のことだ。発見したのは、サルノフ・メドニックという心理学者。
彼は、「創造性とはすばらしくよく働く連想記憶にほかならない」と考えた。つまり、連想がよく働く状態ほど、クリエイティブだと定義したのだ。いまも通用する定義だろう。
●楽しいと、ひらめく!
彼の研究で分かったのは、私たちは楽しい気分だとよくひらめき、クリエイティブになるということだ。
彼の研究では、検査前に楽しいことを考えてもらった被験者は、直感の正確性を表す「直感指数」が2倍も上がった。反対に、悲しいことを考えた被験者は...
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今すぐ、驚くほど簡単にクリエイティブになれる方法がある。そのメカニズムが分かったのは、実は50年ほど前、1960年代のことだ。発見したのは、サルノフ・メドニックという心理学者。
彼は、「創造性とはすばらしくよく働く連想記憶にほかならない」と考えた。つまり、連想がよく働く状態ほど、クリエイティブだと定義したのだ。いまも通用する定義だろう。
●楽しいと、ひらめく!
彼の研究で分かったのは、私たちは楽しい気分だとよくひらめき、クリエイティブになるということだ。
彼の研究では、検査前に楽しいことを考えてもらった被験者は、直感の正確性を表す「直感指数」が2倍も上がった。反対に、悲しいことを考えた被験者は、直感的な作業をまったく正確にこなせなくなってしまったという。不機嫌なときや不幸なとき、私たちは直感のきらめきを失ってしまうのだ。
つまり、今すぐ簡単にクリエイティブになれる方法とは、「楽しい気分になること」だ。方法は何でもよい。ウキウキしながら考えれば、きっと良い結果が出るはずだ。
●ただし、楽しいとエラーも増える
しかし、気をつけなくてはならない点もある。それは、上機嫌、直感、創造性、騙されやすさが強くつながっていることだ。ご機嫌だと直感が冴え、創造性が一段と発揮される一方で、警戒心が薄れ、論理エラーを起こしやすくなる。
昨日、素晴らしいアイデアを思いついたと思ったのに、今日振り返ってみると、実は大きな問題のあるアイデアだった、という経験はないだろうか。それは、創造性が高まっているときに当然起こりえるリスクである。そのリスクを防ぐには、楽しくアイデアを考えた後、時間を置いて、冷静にアイデアを検証するプロセスが欠かせない。
本当に役立つアイデアを生み出すには、楽しくクリエイティブに考えるだけではダメなのだ。疑い深くなる時間もまた大切なのである。
●感情反応が関連性を判断している
ここから先は少し難しい話になるが、なぜこういった方法に効果があるかといえば、私たちの「感情反応」こそが、関連性の判断の基になっているからだ。
例えば、「1:眠る/郵便/スイッチ」「2:塩/深い/波頭」の単語群を見た場合、多くは2を見たほうが笑顔になるのだという。なぜなら、意味のつながりが強い(海を連想させる)ためだ。その笑顔の反応から、私たちは「この単語群は関連性が強い」と判断するのである。
つまり、実は私たちは情報をみると、最初に感情が動き、その感情の動きを見て、私たちの脳が関連性の強弱を判断するのである。「楽しいことを考えて、クリエイティブになる」という方法は、この働きを利用している。楽しいとき、私たちは、目の前や頭のなかにある情報同士の関連性が強いと勝手に勘違いし、積極的に関連性を考えてしまうのだ。結果的に、連想力、クリエイティビティが増すというわけである。
<参考文献>
・『ファスト&スロー(上)』(ダニエル・カーネマン著 早川書房)
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