暗いイメージの「陰」と明るいイメージの「陽」。
老荘思想家の田口佳史氏によると、そもそも「陰」とは、内に向かう「充実・革新」の力、「陽」は外に向かう「拡大・発展」の力で、2つは対立する二者択一の存在ではなく、ともに補いながら同時に一つの物事を形作っている、という。
陰陽論を理解する上で分かりやすい例えとして田口氏が挙げたのは、なんとアサヒビールの「スーパードライ」だ。
スーパードライが登場する前のビール業界の常識は、「コク」タイプか「キレ」タイプのいずれかだった。「コク」はドロッ、「キレ」はスッ。この相反する2つを同時に実現することなど、到底、不可能だと思われていた。
ところがスーパードライ...
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暗いイメージの「陰」と明るいイメージの「陽」。
老荘思想家の田口佳史氏によると、そもそも「陰」とは、内に向かう「充実・革新」の力、「陽」は外に向かう「拡大・発展」の力で、2つは対立する二者択一の存在ではなく、ともに補いながら同時に一つの物事を形作っている、という。
陰陽論を理解する上で分かりやすい例えとして田口氏が挙げたのは、なんとアサヒビールの「スーパードライ」だ。
スーパードライが登場する前のビール業界の常識は、「コク」タイプか「キレ」タイプのいずれかだった。「コク」はドロッ、「キレ」はスッ。この相反する2つを同時に実現することなど、到底、不可能だと思われていた。
ところがスーパードライは、その両方を実現したのだ。
田口氏は、スーパードライを知ったとき、まさに「陰陽を和した」完璧な商品だと感じたという。
二者択一でどちらかを選ばなければいけない局面に直面したら、両方を採るにはどうしたらいいのか、心を空っぽにして考えてほしい、と田口氏はいう。
「心を空っぽにして考えること」を老荘思想では、「冲気(ちゅうき)」という。
ノーベル賞を取った方に「どうやって思いついたのですか?」と聞くと、大体「もうひたすら我を忘れて取り組んだだけです」という答えが返ってくる。
仕事でもプライベートでも、二者択一を迫られたらこのコラムを一度思い出してほしい。「冲気」によって両方を和すれれば、きっと素晴らしい結論を得られるのではないだろうか?
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