「マウントを取る」で用いられる「マウント」の由来「マウンティング」(mounting)は、『生物事典』に「哺乳類の雄が他の雄に馬乗りする行動」と定義されているように、サルなどの集団で生活する動物が群れの中で優位性を確認するための行動を意味しています。
ニホンザルで詳しく研究された「マウンティング」ですが、近年は心理学や脳科学の観点からも援用され、人間の社会的な言動にまで意味を広げて用いられるようになりました。
そして、客観的に見れば優位性がなかったとしても、とにかく相手より優位に立ちたい人を、“すぐに「マウント」を取る人”と表するようにもなってきました。
●すぐに「マウント」を取る人の心理とは...
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「マウントを取る」で用いられる「マウント」の由来「マウンティング」(mounting)は、『生物事典』に「哺乳類の雄が他の雄に馬乗りする行動」と定義されているように、サルなどの集団で生活する動物が群れの中で優位性を確認するための行動を意味しています。
ニホンザルで詳しく研究された「マウンティング」ですが、近年は心理学や脳科学の観点からも援用され、人間の社会的な言動にまで意味を広げて用いられるようになりました。
そして、客観的に見れば優位性がなかったとしても、とにかく相手より優位に立ちたい人を、“すぐに「マウント」を取る人”と表するようにもなってきました。
●すぐに「マウント」を取る人の心理とは?
そんな風に広く用いられるようになってきたすぐに「マウント」を取る人ですが、その心理を表すと、「自信がない」の一言につきます。
自信がない人が本来なすことは、努力して実力を付けることによって自身を持つこと。すなわち自分の絶対値の強化にいそしむべきです。
しかし、すぐに「マウント」を取る人は、自信のなさをゆがんだ承認欲求の強化や現状に対する不満へなどへ転化し、集団内で相対的な序列を高めることを目的化して、安易に安心感を得ようとします。つまり、自分を高めることにリソースを割くことをせずに、他人を落とすことによって、たとえ一時的であったとしても、相対的に自分の価値を高めることを目的としています。
そのため、すぐに「マウント」を取る人は往々にして、横着、怠惰、不勉強、不見識、他責的、他罰的、攻撃的、利己的、わがまま、身勝手、不合理、不条理、自己愛の肥大、客観性の欠如、社会性の未成熟などの特徴が目立つことになります。
●すぐに「マウント」を取る人の対処法
すぐに「マウント」を取る人の対処法として、心理カウンセラーの石原加受子氏は、1)「自分なんて」という卑屈な気持ちを取り払うこと、2)攻撃を受けても何食わぬ態度で過ごすこと――が、最も重要な基本姿勢であるといいます。
そして、「攻撃をしかけられたときには、何も言わずじっと相手の目を見つめてみましょう。あなたを攻撃する人の目は、実はあなたの頭頂部辺りを見ています。あなたが相手を苦手に感じるように、心の中では相手もあなたが苦手なのです。その状態であなたから目を合わされたら、相手は驚き、不気味に感じて話しかけづらくなります」と、述べています。
他方、サルの世界から得られた用語「マウント」には、サルにまつわる真理ともいえることわざを援用し、役立ててほしいとも思います。すなわち、「見ざる・聞かざる・言わざる」の「三猿(さんえん)」の観点に立って、精神的にも物理的にも、すぐに「マウント」を取る人をできうる限り避けるということです。
「三猿」の本義は“悪しきことを遠ざけよ”ですが、すぐに「マウント」を取る人に対する最適の対処法は、関わりをできるだけ遠ざけたり避けたりすることにつきます。
人間関係はどこまでいっても相対的なものであるからこそ、自分で自分を満たせない人や満たそうとしない人とは、避けることや関わりを断ったり減らしたりすることが王道かつ無難です。ぜひ自身を省みつつ、試してみてほしいと思います。
<参考文献>
・「マウンティング」『旺文社 生物事典』(旺文社)
・「職場の最新心理学<52>マウンティングばかりする先輩は何を考えているのか」『プレジデント』(2018年10月1日号、石原加受子著、プレジデント社)
・『他人を攻撃せずにはいられない人』(片田珠美著、PHP新書)
・「見ざる聞かざる言わざる」『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
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