7日、後楽園ホールで60.0kg契約8回戦を戦ったワールド日立ジム所属の宮田茂樹(31歳)は、今回の震災で被害にあった一人である。
　大きな被害を受けた茨城県沿岸部、日立市にある同ジムは、津波の影響こそ免れたが、ライフラインが整わず、再開できたのは10日程前とのこと。ジムで下宿をしている宮田は11日の震災後、家族が心配になり福島県郡山市の実家に戻ったが、福島原発の事故も重なり、とても練習ができる状態ではなかった。
　「一時は親を連れて避難もしました。正直、試合をするかは迷いました。ガソリンや交通手段がなくジムにも戻れず、とりあえず地元で走りこみを。放射能の影響を考えマスクを3枚重ねて。ジム再開後にようやくスパーリングができ追い込んだのですが、やはり準備不足でした」と宮田。この日の試合では、セレスジムの三谷拓也に距離を掴まれ判定で敗れたが、セレス陣営からも「大変な時に来てくれてありがとう」と、声をかけてもらっていた。
　試合後、「こんな時でも地元から応援に来てくれた人達がいる。なんとしても勝ちたかった。今までボクシング1本の生活をしていましたが、こうなってしまっては…。今後のことは分かりません。でも、たいしたことはできませんが、帰ったら被災地でボランティア活動がしたい」と、今度は復興に力を使いたいと話してくれた。
　被災地ボクサー宮田茂樹。願わくば、次にホールに立つ時は、復興ボクサーとして帰ってきてほしいものだ。