【怪談】「おもろいもん見せたろか」
これはI県の、とある山での話です。
一組のカップルが、その山の夜景スポットへ車で向かいました。
到着すると、すでに多くの人でにぎわっており、ムードもなにもないような雰囲気です。
そこで、その山に詳しい先輩に電話をすると、とっておきの場所を教えてくれました。
「ただし、その先は崖だから注意しろよ」
忠告を受け、車を走らせると聞いた通り、人もなくとても静かで雰囲気も良い場所でした。
しかし、そこには別の目的を持った先約がいたのです……
飛び降り、首つり、入水、服毒……。
自殺の方法は様々ですが、
「どうせ死ぬのなら、他人に迷惑をかけて死んでやろう」
と考える人が一定数いるのも事実です。
こういう人たちはたいていの場合、人間世界の全てに強い恨みを持っています。
同時に、
「生きていた証を残したい」
「誰でもいいから記憶に残したい」
と、“生”に対して強い執着も持っている、という矛盾を抱えているのです。
自殺者の数が年間3万人を越える日本。
誰でもそういう瞬間に鉢合わせる可能性があるのです……。
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