大河「光る君へ」初回から衝撃展開 脚本・大石静が語るまひろと道長家の宿命<インタビュー後編>


【モデルプレス=2024/01/07】女優の吉高由里子が主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BS・BSP4K、毎週日曜午後6時~/BSP4K、毎週日曜午後0時15分~)が2024年1月7日から放送開始。脚本を手掛ける大石静が合同取材に応じ、紫式部のキャラクター設定や、初回で衝撃を呼んだ母親の死について語った。<後編>

国仲涼子、落井実結子「光る君へ」第1話より(C)NHK
国仲涼子、落井実結子「光る君へ」第1話より(C)NHK
◆吉高由里子主演大河ドラマ「光る君へ」

吉高由里子「光る君へ」ビジュアル(月夜.ver)(C)NHK
吉高由里子「光る君へ」ビジュアル(月夜.ver)(C)NHK
平安時代を舞台に、壮大で精緻な恋愛長編「源氏物語」を書き上げた紫式部(まひろ)を吉高が演じ、「源氏物語」執筆に欠かせない1人の男性・藤原道長を柄本佑が演じる。ドラマでは紫式部が生涯心を寄せ、陰に陽に影響しあいながら人生をたどる生涯のソウルメイトとなる。

第1回ではまひろの幼少期とのちの道長となる三郎の出会いが描かれたほか、ラストに母・ちやは(国仲涼子)が道長の次兄・藤原道兼(玉置玲央)に殺されるという衝撃の展開となった。母親の死に関与し、罪の意識を背負ったまひろだが、父・為時(岸谷五朗)からは死の真相を口止めされ、道長との長きにわたる宿命を予感させた。

◆大石静が考える紫式部の人物像

木村皐誠、落井実結子「光る君へ」第1話より(C)NHK
木村皐誠、落井実結子「光る君へ」第1話より(C)NHK
― どういった人物かあまり知られていない紫式部を「まひろ」と名付けられた理由は?

大石:最初は「ちふる」が良いとなったんですけど、藤原実資の子供としていたのでダメだとなって皆で色んな名前を考えて決まりました。1年聞いていて耳に心地良い、主張が少なくてスルッと入ってくる名前が良いなと思いました。

― 大石さんから見て紫式部は、一言で言うとどのような女性だと捉えていますか?

大石:「幼き日に母を亡くしたらしい」「貧しい暮らしだった」、これも両方はっきりとはしてないんですけど、そういった仮説があることから生きていくことは不条理に苛まれていくことなんだと知ってしまった女の子だと思います。だから何かにつけて「真っ正面に一生懸命向かいます」という子ではなく「人生とはうまくいかないもの」 と斜めのものの見方で少女期を過ごし、そういうフツフツとしたものを表現してみたい気持ちが文学者としての萌芽であったのかなと。ただ「誰かの妻になりたい」というだけではなく、自分の使命はなんなのか考えている非常に知的レベルの高い女性だと思います。それで道長のこともずっと好きで、道長も何度も「自分の妻になれ」と言うんですけど、いっぱい正妻も嫡妻もいるし、そこに行って不自由な想いはしたくないと受けない。私も書きながら「ここで行けばいいだろ!」と思うんですけど(笑)、やっぱり行かない自我の強い気難しい人だと思います。

◆母・ちはやの死から繋がるまひろと道長家の宿命

高杉真宙、吉高由里子「光る君へ」第2話より(C)NHK
高杉真宙、吉高由里子「光る君へ」第2話より(C)NHK
国仲涼子「光る君へ」(C)NHK
国仲涼子「光る君へ」(C)NHK
― 初回の母親が亡くなるシーンが衝撃的でした。あれは史実ではないと思いますが、どういった想いで書かれましたか?

大石:小さいとき母親が死んでいるらしいという記述はあるんですけど、一次資料に書き残されているわけではないんですよね。そこから幼い頃に母を亡くしているというのは人間形成にとって大きいなと思いますし、何か道長家に繋がらないかと考えて、道長の三兄弟のキャラ設定をしているときに乱暴な次男と結び付けられないかと。そうすると、まひろにとっては愛した人のお兄さんは親の仇になるという悲しい宿命になると思って発想していきました。

― フィクションで描いている部分が多いというお話でしたが、書いている中での苦しんだ部分やテンションが上がった部分を教えて下さい。

大石:私は常にオリジナル脚本を書いてきて、原作ものの脚色はほとんどしないので、私にとってオリジナルを書くことは当たり前なんです。だから、特別に苦しんだということはありません。色々な歴史の資料を読むのは割と楽しいし、この仕事を引き受けなければ1000年も前のことなんて知らなかったなと思うと、そういう意味でもやってよかったなと思います。

(modelpress編集部)

◆「光る君へ」第2回あらすじ

母の死から6年、まひろ(吉高由里子)は15歳となり成人の儀式を迎える。死因を隠した父・為時(岸谷五朗)との関係は冷めきる中、まひろは代筆仕事に生きがいを感じている。一方、道長(柄本佑)は官職を得て宮仕え。姉・詮子(吉田羊)が帝との間に皇子をもうけ、道長の一家は権力を拡大していた。道長の父・兼家(段田安則)はその権力をさらに強固なものにしようと道兼(玉置玲央)を動かし天皇が退位するよう陰謀を計る。

◆大石静プロフィール

東京生まれ。1986年にテレビドラマの脚本家としてデビューして以来、オリジナル作品を中心に多数のテレビドラマの脚本を執筆。97年に連続テレビ小説「ふたりっ子」(NHK)では第15回向田邦子賞と第5回橋田賞、2011年に「セカンドバージン」(NHK)では東京ドラマアウォード脚本賞、21年にNHK放送文化賞を受賞、さらに同年に旭日小綬章を綬章。これまでの執筆作に連続テレビ小説「オードリー」、大河ドラマ「功名が辻」(NHK)、「家売るオンナ」、「知らなくていいコト」(日本テレビ)、「長男の嫁」、「大恋愛~僕を忘れる君と」(TBS)、「アフリカの夜」、「愛と青春の宝塚~恋よりも生命よりも~」(フジテレビ)、「和田家の男たち」、「星降る夜に」(テレビ朝日)など。

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