【第二十七話】実験台の希望者は30万人超!?「東京マラソン」の都市伝説
「風水で東京を再生する呪術的なイベント」
「卍型のコースには隠された意味がある」
「海外から申し込むと当選確立アップ」……
2007年に第1回大会が開催され、およそ3万人のランナーが参加し、200万人を越える観衆が沿道を埋め、約1万人の市民が無償ボランティアで大会を支える「東京マラソン」にもまた、都市伝説が存在します。
東京中心部の主要道路を7時間にも渡って通行止めにし、様々な人たちを全力で走らせる本当の目的とは何なのか──あなたはこんな話を聞いたことがありませんか?
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東京マラソンは、自然災害や人災によって交通が麻痺した時のデータ収集が目的である、という噂がある。
マラソンイベントでは選手たちに「ランナーズチップ」と呼ばれるICチップが配布され、これによって各参加者のスタートからゴールまでに要したタイムが正確に記録されている。
──が、
このICチップが記録する情報は、それだけではない。
ある地点からある地点へ、大勢の人間が一斉に全速で走った場合どのくらいの時間を要するかは、地形や道路の状況によって机上で予測することは容易ではない。しかし、ICチップを身に付けた選手がタイムを競いながら走れば、通過ルートや所要時間などのデータは自ずと収集されることになる。
また多くの市民参加型シティマラソンの場合、そのコースは良いタイムが出しやすく、運営団体が管理しやすいよう、直線か周回のコースを設けるのが常である(直線コース:ニューヨークシティマラソンなど/周回コース:ベルリンマラソンなど)。しかし東京マラソンの場合は、複雑に十字を描くコースが設定されている。
これは、東京都内の要所から要所への実走タイムを把握するためのコース設定である、という説もある。
こうして集められたデータを元に、災害の際に効率的な避難ができるよう経路や誘導方法を検討し、またマラソンイベントの運営を通じて災害時の予行訓練をするという狙いが、東京マラソンには秘められているという。
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──いかがでしょうか。
東京マラソンの開催を受け、屋形船東京都協同組合では2009年(第2回大会)から「応援屋形船」というサービスを実施しています。
沿道で応援する観客を、屋形船でゴール地点まで送るというサービスなのですが「災害時の帰宅困難者支援を想定し不特定多数の乗客を目的地まで運ぶという訓練の意味合いを持たせた」と、公式に発表されています。
災害で橋が失われた場合や地下鉄が寸断された際、帰宅困難者を船で避難させるための地道な実地訓練が、お祭りムードの大会の陰で人知れず行われていたのです。
東京オリンピック構想のアピールとして、またチャリティーとしても大きな功績を残してきた東京マラソンは、世界ロードレース規格の最高位に格付けられた「IAAFゴールドラベル」の市民参加型マラソンです。
次回大会は2015年2月22日に開催予定の「東京マラソン」。まもなくその詳細が発表されますが、この都市伝説の真相についてもぜひ発表して欲しいと願ってやみません。
<次回予告>
次回は「円周率」「π」にまつわる都市伝説をご紹介。「産医師、異国に向かう」のゴロ合わせで覚えたあの円周率は無駄骨だったのか!? どうぞお見逃しなく!