<W杯日本代表帰国 会見全文/前編>“小さい選手”の熱い存在、長谷部誠が振り返る4年、西野朗監督がかけた言葉…


【ワールドカップ/モデルプレス=7月5日】2018FIFA ワールドカップロシアの試合を終えた日本代表(SAMURAI BLUE)が、5日に帰国。西野朗監督は、キャプテンを務めた長谷部誠選手、日本サッカー協会会長・田嶋幸三氏とともに帰国記者会見に出席し、今後について語った。以下、会見前半部分のコメント全文。

長谷部誠選手、西野朗監督 (C)モデルプレス
長谷部誠選手、西野朗監督 (C)モデルプレス
◆田嶋幸三会長 冒頭挨拶

田嶋:改めまして、お集まり頂きありがとうございます。選手たち23名、そして井手口、浅野、そして予選等に関わったすべての選手、そして西野監督のもと、スタッフがほんとに集結して素晴らしい試合を展開してくれたと思っています。改めて誇りに思いますし、感謝したいと思います。そして、長きにわたり日本サッカーを支えてくださっていますキリン株式会社様、アディダスジャパン様、そしてサポーティングカンパニーの皆様には感謝申し上げます。そしてこの選手たちを育ててくださった少年からJリーグに至るまで育ててくださったすべての関係の方々に感謝し、そして直接育てなかったとしても、日本のサッカーの中で様々な活動してくださっているフットボールファミリーの方たちに感謝申し上げたいというふうに思います。そしてほんとに熱い応援をしてくださった日本国民の方々。そしてそれを報道してくださった皆さんにはほんとに感謝しています。また、日本代表なんか嫌いだと、応援なんてしないと言ってくださった方も、関心を持ってくださったという意味で、その方々にも感謝しなければいけないと思っています。

サッカーを文化にしたい、私たちはそういう気持ちで日本サッカー協会の活動に取り組んでいます。これは西野監督が技術委員長時代からそのことについて常に議論していました。そして、それが少しずつ形となって現れたのがこの大会だと思っています。ポジティブな面、ネガティブな面あったと思いますが、すべてがスポーツを、サッカーを文化するということに繋がっていると思っています。残念ながらこのチームはここで解散することになります。素晴らしい試合をしてくださったみんなに感謝し、そしてほんとにそれを支えた家族の方たちにも感謝しなければいけないと思っています。残念ですけども、これは仕方がないことだと思っています。次に向けて、私達サッカー協会はまた新たなスタートをきりたいと思っています。本当にありがとうございました。

西野朗監督 (C)モデルプレス
西野朗監督 (C)モデルプレス
◆西野朗監督 冒頭挨拶

西野:皆さんこんにちは。今日は通訳機がないので安心して喋れますけれども(笑)。ワールドカップ途中で帰国となりましたけども、チャーター機で帰らせて頂きました。非常に恐縮しております。選手23人全員帰国、重大なケガもなくクラブに戻るということも、安心をしております。一部選手からは、休みが少ないのでオフィシャルで休みを少し与えてあげるようよう、伝えてくれとある選手から言われているのでまあ所属クラブで調整していただければと思います。

5月21日からワールドカップに向けて最終の調整に入り、監督として今日で46日になりますけども、活動させていただきました。私にとっては46日という活動でしたけども、選手たちはあのブラジルから4年、いろんな思いを持ってロシアに、そして日本サッカー界のために成長したい、そういう想いで入っていく中で、私自身は46日という中で同じピッチに立って、その想いはまったく違いました。

選手たちはほんとに強い思いでロシアに向けての意欲、意識、非常が高い。私も最終的なところで、選手になんとかロシアでという想いでやってきましたけども、選手たちのあの強い気持ちには到底勝つことは出来ませんでした。そんな中、選手たち前監督の財産、やってきたことにさらに本大会で自分たちでできることを探りながら、ほんとに素晴らしいサッカーを披露してくれたと思います。結果は、1つしか勝てませんでしたけれども、ワールドカップでの1ポイント、1ゴール、1プレーというのはほんとに厳しいということも、私自身初めての経験でした。グループステージ突破すること、そしてノックアウトステージで勝ち上がることのほんとに厳しさを知らされました。そういう感覚も持ち合わせてなかったということもありますけれども、選手たちは頼もしく戦ってくれた。それに携わって頂いたスタッフにはほんとに感謝したいと思います。現場のコーチングスタッフ、サポーティングスタッフはもちろんですけど、国内で、オースリアで、ロシアで、それぞれの環境でベストな状態を作ってくれたたくさんのスタッフに感謝したいと思いますし、日本で、国民の皆さんがサムライブルーを後押ししてくれたそういう力も向こうで感じながら戦うことができました。

ほんとに残念ながら途中で帰ることになりましたけども。8年周期でベスト16をチャレンジして。このスパンではダメだと思います。次の4年後カタールで間違いなくベスト16を突破できる。そういう段階にはあると思うので、必ず4年後、選手たちが必ず成し遂げてくれる状態につなげたという成果だけは感じたいと思います。ほんとにこの場をお借りしてたくさんの方にお礼を申し上げたいと思います。選手たちのこれからの活躍、躍進に期待したいと思っています。たくさんのメディアの皆様も、非常に厳しい意見、評価をして頂いてましたけども、それも大いに糧になりました。これからも厳しい目でサムライブルーを見て頂くことも大事です。ほんとにありがとうございました。

長谷部誠選手 (C)モデルプレス
長谷部誠選手 (C)モデルプレス
◆長谷部誠選手 冒頭挨拶

長谷部:こんにちは。今、田嶋会長、西野監督が述べて頂いたので、選手を代表して。ほんとに日本中の方々、わざわざ現地まで足を運んでくださったサポーターの方、そして日本で多くの方が応援してくださっている様子も選手たちの目に届いていました。本日も空港で多くの方が出迎えてくれて、選手冥利に尽きると思います。ほんとに素晴らしいサポートありがとうございました。

今回のワールドカップを通じて、大会前はあまり僕たち期待されてなかったと思うんですけど。やはり無関心という部分が僕個人的にはが1番怖いと思っているので。またこのワールドカップで日本の皆さんの関心集められたと思いますので、また引き続き日本の皆様には、日本サッカー界、代表だけじゃなくて、Jリーグ、海外でプレーしている選手、女子、いろんなカテゴリーありますけど、すべての日本サッカー界に関心をもって頂き、時には温かく、時には厳しいサポートお願いしたいと思います。ほんとに素晴らしいサポートありがとうございました。

長谷部誠選手、西野朗、田嶋幸三氏 (C)モデルプレス
長谷部誠選手、西野朗、田嶋幸三氏 (C)モデルプレス
◆質疑応答

― 空港で多くのファン、サポーターに迎えられて

西野:代表チームがこうやって海外から帰ってきて、サッカーだけでなくて、個人的なスポーツもそうですけど成果をあげた中で国民にそのスポーツ・競技の素晴らしさ、皆さん方にそういう感動を与えた選手たちを迎えてくれる習慣はほかのスポーツを見ても感じるところですし、スポーツはそういう感動を与えられるものだと思います。我々も、勿論日本を出る時に、ワールドカップで強いチャレンジをして成果をあげて戻れれば、ああいう歓迎を受けられるんだろうなという思いもありましたし、必ずそういう期待に応えたいという思いでチャレンジしてきました。

ただ、今日たくさんの方に出迎えて頂きましたけど、十分な成果をあげてきたわけではないと思います。ワールドカップの厳しいところも皆さんわかったうえでこうやって迎えてくれたんだと思います。本当に、最大の最高のチャレンジを出し尽くした選手の姿が似合ったと思うんですね。結果だけではない、そういうとことが皆さんに伝わって、今日空港に来られた方だけではなく、多くの方にそういう部分は伝えられたかなと思います。

先ほども言いましたけど、もっと深みの目標を。サッカー界は50年で優勝も目標を掲げている。そういう中で1ページなにか次に繋げられるにように、下のカテゴリーに繋げられるように1ページ、半ページぐらい示せたかなと。そういう気持ちがあるので素直に半分申し訳ないと思いながら、出迎えに関してはありがた位と思いますし心から感謝していますし、次への力だと思いたいところもあります。

長谷部:選手として出発時、その時より帰国したときには本当にたくさんの方に出迎えていただいたいて嬉しく思います。その熱気を次の日本代表チームにつないでいってほしいなと思います。

― 西野監督にとってはどのような46日間だったか

西野:準備期間も自分の役割も、ハッキリ短い間、コンパクトな中でハッキリしていることでした。まず大きな財産があるわけですよね、ブラジルの敗戦から選手たち、サッカー協会が試行錯誤して次へと活動し強化し、そしてロシアへの切符をとった、その後も強化してロシアへ向かっている。私も帯同して客観的にチームを見る中で まあ5月21日に選手と会った時に、それだけではロシアでは戦えないと感じがしました、今までの力だけではと素直に思いましたし、それに向けて何かを劇的に変えないと思いました。代表の選手はそれぞれの能力も高いし、培った今までやってきたことプラス、このわずかな期間で何かを足していけば何かチャレンジできるんじゃないか、対応できるものがあるんじゃないかということで、アプローチを選手たちに言いましたし、コーチたちにもしてきましたけど、選手たちが、まず今まで培った財産以上に何かをと、私以上に感じて、そういう短いなかで体制が変わった中で、選手たちがそういう力をみつけてきた。自分はそのサポーターをしてきた感じです。

危機感もあったかもしれないし、「自分たちがやることはまだある」と感じながら国内でのピッチから始まったのか。本当にそれは選手たちの意欲。さらに遡ったらブラジル、その前の大会を経験した選手たちもいますが、やはりロシアでの強いチャレンジに対して選手たちがそういう気持ちでやってくれたことに対して、自分はコーチングスタッフがいいチームの中でやってくれた。懸けであったという部分もあった選手たちも自分も。何かリスクを追って、何かに進まないといけないこともありましたし、そういう意欲の中で貢献してきたそのがむしゃらな中に自分がというか。本当に素晴らしい選手だと思います。

長谷部誠選手 (C)モデルプレス
長谷部誠選手 (C)モデルプレス
― ベルギー戦後、選手にどんな言葉をかけたのか?

西野:そうですね。ある選手がグループステージを突破した翌日のミーティングでいきなり発言して…小さい選手なんですけど。ブラジルの話をしたかったんでしょうけど、ブラジルっていう言葉をパッと言葉を言った瞬間に言葉を詰まらせたんですね。その後、泣きじゃくりながらなんとか、そのブラジルから想いを。なんとかグループステージを突破した翌日の話なので、おそらくそういう回想しながら、詰まってしまった瞬間がミーティングではあったんです。僕もやっぱり選手たちに、あのベルギー戦が終わった後の、倒れ込んで背中で感じた芝生の感触、それで見上げた空の色だか感じだか、それは忘れるな。ベンチで座ってた選手のあの居心地の悪いベンチのおしりの下の感触を忘れるな。そういう思いで、僕がいなくてもおそらくその小さい選手が、グループステージ突破して翌日に話してくれたことは、これからのやはり4年、まあ4年ではないですね早い段階で世界に追いつける、そういう視点というか、与えてくれた選手がいたので、私自身もそういう話は生まれましたけども。

あの悔しさっていうのは、僕自身も感じたことがない残り30分。自分の判断の猶予のない、それをピッチ上にいた先選手たちの3点目が入れるんじゃないかと思いながら。あのベルギーに対していけたけど、残り30分がああいう状況になって、何も修正できなかった。あれが世界だと思いますし、あれに対抗して、日本はこれからとにかく前へという中の、日々鍛えて成長していかなければという話でしょうか。

長谷部誠選手 (C)モデルプレス
長谷部誠選手 (C)モデルプレス
― 長谷部選手、前回のブラジル大会からの4年を振り返ってどんな4年間だったか

長谷部:ブラジルで、多くの選手が味わった悔しさ、そしてサポーターの皆さんも味わった失望感というものを取り戻すために。そして取り戻して、そしてまたさらにその上に行くために、この4年間やってきたんだという思いが選手みんなにあって、今監督が話されたようにほんとにブラジルでの悔しさを持った選手たちがこのチームを引っ張っていたのかなと思いま。個人的にはほんとにブラジルが終わった後、ロシアワールドカップのピッチに立っている自分っていうのは想像その終わった当初まったく想像できなかったので、今、振り返ってみればあっという間の時間でした。

他の選手はどういう時間の感覚っていうものを持っているかはわからないですけど、まあそれぞれ所属チームは違えど、やはり心の奥底にブラジルからこのロシアに向けての思いっていうのはそれぞれに共通してみんな持っていたと思います。そういう思いが強かったというのが今回のグループステージの突破につながったと思いますし、もちろんこれで満足してるわけではなく、今回味わった悔しさっていうのを、次のカタールでさらに上にいってほしいなと思います。

― 大会前に日本代表に厳しい状態をひっくり返したいというお話が長谷部選手からありました。大会を終えてみていかがでしょうか?

長谷部:選手が口をそろえて、合宿中、食事中とかいろんなところで話していたのは、ほんとにこのように皆様に期待されない状況、この雰囲気っていうのを絶対ひっくり返してやるっていうふうにチームの中のみんなに話してましたし、そういう思いはみんなその思いが強かった分、今回こうしてみなさんの期待をもう1度取り戻せたと思うんで、そういう部分では、非常にやってやったじゃないですけど、そういう気持ちももちろんありますし、そういう逆にそういう皆さんの厳しいお言葉とか、そういうものがこのチームの力になったかなとは思いますね。

※後編に続く

(modelpress編集部)

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