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【第五話】噂、解明!「道路標識の男」の真相

「バイク事故の原因はカブトムシ」
「高架のコンクリートに人型のシミ」
「交通事故には健康保険が使えない」……

誰もが利用する「道路」には、数々の都市伝説が存在します。中でも「道路標識の男」は実話として広く知られている逸話です。

見ているようで見ていない。でも、よ〜く見ると何だか怪しい「歩行者専用道」の標識。こんなエピソードを、あなたは聴いたことがありませんか?

女の子が男性に手を引かれて歩く図案でなじみ深い「歩行者専用道」の道路標識。
あのデザインは、昭和40年代後半「道路交通法及び道路法の改正」にともなって一般公募されたものだった。

採用されたのは関東在住のカメラマンが応募したデザインで、彼は標識にふさわしい光景を求め、街を歩き回ったと言う。

ある夕暮れのこと。
カメラマンは目の前の光景に閃きを覚えた。

リボンを付けた女の子と、ソフト帽を被った中年男性──

「──これだ!」

両親の愛情をいっぱいに受けて育ったであろうキュートな洋装の女の子と、ソフト帽を目深に被り、優しく娘の手を引く紳士──これぞ誰の目にも触れる交通標識にぴったりな、温かく幸福に満ちた光景に出逢えたと、カメラマンは夢中でシャッターを切った。

この親子のデザインが道路標識に採用され、しばらくたったある日のこと。カメラマンはテレビで誘拐事件のニュースに遭遇する。

「この男は……!?」

ニュースが報じた連続誘拐魔は、あの日見たソフト帽の紳士だった。

あの日の夕暮れ、カメラマンが見た幸福な親子の光景は、誘拐事件の一コマだったのだ。

──いかがでしょうか。

この「歩行者専用道路」の道路標識。言われて見れば確かに少女の左腕は力みが読み取れ、身体をよじって抵抗しているようにも見え、何より男の左腕はどこが関節なのか分からない奇妙な様相で、どこか不気味な雰囲気が漂います。

実はこの標識デザイン、世界各国で採用されているのです。

旅行者が外国に行っても交通のトラブルに巻き込まれないよう、国連は「国際連合道路標識」という国際的な統一規格を設けていて、今回話題の標識デザインは西ドイツで誕生し、この規格に準じて日本でも用いられている図案なのです。

──ところが、
現在ドイツで使われている図案はこれと異なり、女性に手を引かれている子どものデザインになっています。

と言うのも、1970年(昭和45年)頃、西ドイツのハイネマン大統領が「この図案は誘拐を連想させる」と発言したのを受け、ソフト帽の男性からスカートを履いた女性へとデザイン変更がなされたためだそうです。

「道路標識の男」のエピソードは、西ドイツの道路標識と誘拐にまつわるエピソードが口伝えで広まった結果、伝言ゲームのように「誘拐犯がデザインになった」とねじれて語られるようになったのではないか、と言うのが現在では通説とされています。

「──しかし、女性の誘拐犯もいるのでは?」

……それを言っちゃあおしまいよ。
と言うことで、今回のレポートもこれにて終了とさせていただきます。

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