「おっさんずラブ」が女性から支持される理由 ちず(内田理央)の存在がもたらす共感とリアル


【おっさんずラブ/モデルプレス=5月23日】俳優の田中圭が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『おっさんずラブ』(毎週土曜よる11時15分~)が話題沸騰中だ。なぜ、ここまで視聴者から支持されるのか、を考えてみた。

林遣都、田中圭、吉田鋼太郎/「おっさんずラブ」第2話より(C)テレビ朝日
林遣都、田中圭、吉田鋼太郎/「おっさんずラブ」第2話より(C)テレビ朝日
◆新感覚の純愛ストーリー「おっさんずラブ」

林遣都、田中圭/「おっさんずラブ」第4話より(C)テレビ朝日
林遣都、田中圭/「おっさんずラブ」第4話より(C)テレビ朝日
同作は、2016年の年末深夜に単発ドラマとして放送され話題を呼んだ“抱腹絶倒の胸キュン・コメディー”を連続ドラマ化。主人公のモテない独身男・春田創一(田中圭)を、ピュアな乙女心を持つ上司・黒澤武蔵(吉田鋼太郎)とイケメンでドSな後輩・牧凌太(林遣都)が取り合うという“全員男”のカオスなコメディーながら、名役者たちの熱演と純愛ストーリーで反響を呼んでいる。

話題が話題を呼び、公式インスタグラムの裏アカウント『武蔵の部屋』が現在フォロワー数39万人超え(5月23日時点)、SNSや独自調査を集計し、今熱い番組・人物・コトバからテレビの流行に迫る新指標「視聴熱」でも第2話放送の4月28日から4月30日まで3日間にわたって「デイリーランキング1位」を獲得するなど、視聴者の“おっさんず熱”は上昇中だ。

◆ちず(内田理央)の存在がもたらす共感…周りの理解力が現代のリアル

ダメ男だけど人間的魅力が溢れているはるたん、まさに「かわいすぎる!存在が罪!」/「おっさんずラブ」第2話より(C)テレビ朝日
ダメ男だけど人間的魅力が溢れているはるたん、まさに「かわいすぎる!存在が罪!」/「おっさんずラブ」第2話より(C)テレビ朝日
これまでもセクシャルマイノリティを扱ったドラマは数多く存在したが、『おっさんずラブ』が一線を画しているのが、男性同士の恋愛を特別なものとして描かずにあくまでも“王道ラブストーリー”として胸を張っているところだろう。

これまでのドラマに登場するセクシャルマイノリティ当事者は、周りにカミングアウトすることへの葛藤や生きづらさといったリアルな悩みと常に隣り合わせだった。上戸彩が性同一性障害の生徒を熱演したTBS系『3年B組金八先生 第6シリーズ』(2001)や、上野樹里が性同一性障害のモトクロス選手を演じたフジテレビ系『ラスト・フレンズ』(2008)など、ストーリーの核となったのはそういった苦悩を乗り越え、自らと向き合い、前へ進んでいく姿だ。

近年、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を取った総称の1つ)というワードを耳にする機会も増え、社会的な動きも急速に進み、多様な性を受け入れつつあるように見える国内。そうした動きはドラマ業界にも如実に影響をもたらしており、1月クールに放送されたフジテレビ系ドラマ『隣の家族は青く見える』ではメインキャラクターとして男性同士のカップルが登場。NHKドラマでは“トランスジェンダー女子”の日常を描いた『女子的生活』が放送され、NHK BSプレミアムではゲイ同性婚をテーマとした漫画『弟の夫』をドラマ化した。

内田理央/「おっさんずラブ」第1話より(C)テレビ朝日
内田理央/「おっさんずラブ」第1話より(C)テレビ朝日
吉田鋼太郎、田中圭、大塚寧々/「おっさんずラブ」第4話より(C)テレビ朝日
吉田鋼太郎、田中圭、大塚寧々/「おっさんずラブ」第4話より(C)テレビ朝日
こういった作品でもやはり周りからの理解や家族へのカミングアウトといった困難は描かれたが、『おっさんずラブ』はあえて振り切ってそういった描写には比重を置かない。ここで重要な役割を担っていると考えるのが、春田の幼馴染・ちず(内田理央)。春田から男性に告白されたことを聞いた当初からその事実に疑問を抱かずにすんなりと受け入れる台詞が視聴者から「なんていい子なんだ」と反響を呼んだ。また、春田や部長の妻・蝶子(大塚寧々)といったメインキャラクターは総じて同性愛者に差別的な態度をとらない。これが10代~20代といった若者世代の視聴者の感覚と一致していると予想したい。

内田理央、田中圭/「おっさんずラブ」第5話より(C)テレビ朝日
内田理央、田中圭/「おっさんずラブ」第5話より(C)テレビ朝日
あくまで個人的な感触ではあるが、20代である筆者の周りにはセクシャルマイノリティに対して偏見を持っている人はほとんどおらず、いまや偏見や差別を持っているのは「正直ダサい」という感覚だ。もちろん、社会的な理解を進めるために葛藤をしっかりと描いて欲しいという意見もあるはずだし、当事者がどう受け取っているかは別問題だが、当然偏見を持っていない視聴者にとっては、ちずの反応がリアルで、すんなりとストーリーの世界観に入り込める。これが、おそらくちずと同じ目線の女性から絶大な支持を受ける理由なのだろう。

そういった意味では、セクシャルマイノリティドラマジャンル(とくくって良いかは分からないが)に一石を投じたといえる『おっさんずラブ』。残り2話となり、春田たちがどんな結末を迎えるか、楽しみに見守りたい。(modelpress編集部)

情報:テレビ朝日

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