資料館に行こう！（2/5）

そういえば、慧は卒業記念の遠足場所に文化資料館を押していた。残念ながらＡ４と那智によって結局、ナルミーシーに行くことになってしまったが……。

「慧君、そんなに文化資料館に行きたかったんだ……？」

「僕は一人で何度も足を運んでいるんだが……その、今回はできれば、先生と一緒に行きたいと思ったんだ」

「私と？」

「そうだ。聖央地区の歴史はもちろん、色々と有益なことが学べる資料館だ。先生も行っておいて損はないと思う。べ、別に先生とふたりきりでデートがしたいなどという不埒な理由ではない。

先生の今後のことを思ってだな……」

どもりながら、どんどん声が大きくなっていく慧を、真奈美が慌てて止める。

「け、慧君。ここ職員室だってば。声が大きい」

言われてハッと周囲を見渡した慧は、口元を押さえ、礼儀正しく頭を下げた。

「す、すまない。僕としたことが、つい……」

「……わかった。じゃあ次の日曜日、一緒に行こうか？」

「……いいのか？」

自分から誘っておいて、意外そうな顔をする慧がおかしくて、真奈美は口元をほころばせた。