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N・S・Y・A~ナルミーシーより愛を込めて~(2/5)

いつものように「ンフッ」と笑いでしめくくられるはずだったアラタの言葉は、濁音まじりの呻きに取って代わった。照れるあまりか焦るあまりか、夢中で手を振り抜こうとした真奈美のこぶしが、不運にもアラタのみぞおちにクリーンヒットしてしまったのだ。

「あちゃ~。ピーちゃん、だいじょぶナリか~?」

思わずその場にうずくまるアラタに、八雲が心底哀れんだ声をかけた。

「うう……ティ……ティンカーちゃん……ひどい……」

「ご、ごめん! アラタ君、だ、大丈夫……!?」

真奈美はおろおろしながら、アラタのことを気遣う。

「おっ、なんでぇ、さっそく夫婦喧嘩か?」

「ほう、これは筋が良さそうだ。先生、本格的に不破流古武術を習得してみる気はないか?」

が、天十郎と千聖には同情のかけらもなく、呑気なものだ。

「まあ、いわゆる自業自得というやつですな」

八雲も二人に便乗して、したり顔でうんうんと頷いた。

「だ……大丈夫。これがティンカーちゃんの愛情表現と言うなら、今すぐにでも快感に変えてみせるよ」

「……そんなことは言ってません。快感にも変えなくていいです」

「相変わらずツレない……もしかしてティンカーちゃんて、ツンツンレデレデ?」

「ツンレデ……じゃなくて、ツンデレでもありませんっ。……というか、そんな口が叩けるなら大丈夫だね」

真奈美が心底ホッとした顔になる。

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